美しさへの昇華 『その先の道に消える』 中村文則(朝日新聞出版)

極めたものは美しい。内村航平の躍動も羽生結弦の銀盤の舞も、美女を縛る緊縛の技も変わるまい。観る者の性の嗜好を伴えば、果てしない高みに人を誘うに違いない。面白い世界を覗いた。

それにしても、縄の世界が江戸時代の日本から生まれたものだったとは、気付かなかった。

しかし、より強く私の興味を引いたのは、吉川一成の緊縛の師が宮司であった所だ。神社のしめ縄が麻であり、麻とは大麻であり大麻での神との交信があったのであり‥‥。なるほど。雄略天皇武烈天皇の荒々しさに、大東亜戦争の違った結末を感じてみたり‥‥。

知らないでここまで生きてきたが、神話を学ぶと言う課題がまたひとつ生まれた。